FIREを目指しているとやっぱり高配当株って魅力的です。
株は上がっているときもあれば下がっているときもありますよね。もしFIREした後に株価が下がってしまったとして、S&P500のようなインデックスばかりだったら換金するのをためらってしまいます。
その点高配当ETFに投資をしておけば、配当分で生活をすれば元本を減らさなくて済むので安心です。
有名な高配当ETFであるVYMの購入タイミングを前回の記事で検証したので、今回はVYMに負けず劣らず人気の「SPYD」の購入タイミングについて検証していきます。
VYMのときは確か「定期購入」が良いって結論だった気がするな~。
今回はどうかな??早速検証していこう!
この記事を読むことで、米国高配当ETFであるSPYDの最も投資効率の良い買い方を知ることができます。
この記事を書いた人
- 共働き夫婦(夫29歳、妻28歳)
- 資産1900万円を運用中
- 2021年の年間投資成績+200万円
- 自動売買・個別株・仮想通貨など幅広く投資
SPYDとは?
そもそもSPYD?って何という方向けに簡単にSPYDについておさらいしていきます。
SPYDは高配当として有名な米国で上場している投資信託(ETF)です。
S&P500の中で最も利回りの高い企業80社を組み入れている「S&P500高配当指数」をベンチマークにしています。
経費率は0.07%と非常に低く、配当利回りは4~5%となっています。
SPYDの組み入れ銘柄
2022年1月時点でのSPYDの組み入れ銘柄トップ10は以下のようになっています。
順位 | 銘柄 | 組入割合 |
1 | コメリカ | 1.67 |
2 | ベーカー・ヒューズ | 1.63 |
3 | マラソン・ペトロリアム | 1.62 |
4 | エクソンモービル | 1.6 |
5 | シェブロン | 1.6 |
6 | キーコープ | 1.58 |
7 | M&Tバンク | 1.58 |
8 | バレロ・エナジー | 1.57 |
9 | ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル | 1.53 |
10 | ファイザー | 1.52 |
全然知らない銘柄ばっかり!VYMのときは知っている銘柄が多かったのに!
本当だね。ファイザーやエクソンモービル、シェブロンくらいしか知らない・・・
SPYDは超高配当ETFなので、GAFAMを中心としたハイテクグロース関連の株は構成銘柄上位に含まれていません。
組み入れ上位に入っている「コメリカ」はテキサス州ダラスに本社を置く金融持ち株会社で、時価総額1兆円ほどのさほど大きくない株です。
業績も右肩上がりのイケイケって感じではなく、良くも悪くも安定的です。
組み入れ上位を調べるとわかりますが、値上がりを求めるのではなく、日々高い配当を受け取りたい人向けのETFになります。
分配金
過去10年間の分配金の推移を見ていきましょう。
年 | 年末株価 | 年間分配金 | 利回り |
2016 | $34.86 | $1.51 | 4.33% |
2017 | $37.45 | $1.74 | 4.65% |
2018 | $34.07 | $1.62 | 4.75% |
2019 | $39.46 | $1.75 | 4.43% |
2020 | $32.94 | $1.63 | 4.95% |
2021 | $42.05 | $1.55 | 3.68% |
平均 | $1.58 | 4.47% |
あれれ。配当金が減りつつあるね。
配当利回りは高いけど、減配傾向にあるのは残念だね。
高い配当利回りは魅力的ですが、増配・減配を繰り返しており安定感がありません。
これは組み入れ銘柄の業績あまり伸びていないことが減配の原因だと考えられます。
同じく高配当ETFであるVYMは株価右肩上がり×連続増配になっており、個人的にはVYMの方が投資したいと思います。
S&P500の中で高配当順に銘柄を組み入れている都合上、どうしても業績が悪く株価が下がっているものに投資してしまうリスクがある。リスクをわかった上で配当利回りが高いETFに投資したい人向けだね。
SPYDの購入タイミングをシミュレーションした結果
SPYDについてはよくわかったから、今度は効率の良い買い方を教えて!
OK!今回は「毎月定期購入する場合」と「配当利回りが高くなったときだけ買う場合」でどちらがパフォーマンスが良いかを検証してみたよ。
高配当ETFは長期で保有することが前提なので、チャートをみて売買を判断するよりは、毎月定期購入or配当利回りは高くなった時に購入が適していると考えられます。
配当利回りが高いときに買うと何でいいの?
配当利回りは株価の割安性を表しているからだよ。
利回りが高ければ配当の割に株価が割安だと判断できるんだ。
配当利回り(%)=1株当たりの配当金÷株価
配当利回りは上式で計算できるので、配当金が高い時、株価が安い時に利回りが上昇します。
どちらの場合でも配当の割に株価が低いことを表しているので、割安度合を見るにはちょうどいい指標になります。
シミュレーションの前提
配当利回りで投資を判断するのが「スポット」と表記することにします。
この投資方法では、毎月3万円現金が投入され、現金として積みたてられてます。そして配当利回りがある一定レベルを超えたら、積み立てていた現金をすべて株式購入にあてます。
一方、「定期」は毎月3万円で買えるだけ株式を買って、残ったお金は翌月の購入にあてる投資方法です。
条件 | 「定期」 | 「スポット」 |
購入タイミング | 毎月末全額投資 | 配当利回りが一定以上で全額投資 |
資金投入額 | 毎月3万円 | 毎月3万円 |
配当金 | 3,6,9,12月 | 3,6,9,12月 |
配当金再投資 | する | する |
期間 | 10年 | 10年 |
ドル円レート | 110円固定 | 110円固定 |
結果(定期vs配当利回り4.5%以上で購入)
まずはスポット購入の条件を「配当利回りが4.5%以上」とした場合の結果を見ていきましょう。
ちなみにこの4.5%という数字は2016~2021年の平均配当利回りからとっています。つまり5年間で割安な時期のみ購入するということです。
それではキャピタルゲインとインカムゲインの合計で算出したトータルリターンから見ていきます。
ん?定期とスポットで全く同じ結果になってない?
そうみたいだね。たしかVYMのときもこんな結果になっていたね。
何でそうなったのか詳しくみてみようか。
配当利回りが平均以上のときのみに購入することで平均取得単価を下げることができたのかを検証するために、それぞれの平均取得単価の推移を確認してみましょう。
この結果から、スポットで購入した方が平均取得単価が安くなっていることが分かります。つまり配当利回りが平均よりも高い時に購入することで割安でポジションを構築することができています。
ただし積立の最初のころはポジションが少ないので、受け取った配当金の総額は違いがありそうです。
そこで配当金総額を次のグラフで見ていきましょう。
やはり定期的に積立を行う方が3万円ほど配当金の受取額が多いです。
「スポット購入による取得単価の引き下げ効果」と「定期積立による受取配当金の多さ」がほとんど同じだったので、トータルリターンに差がなかったと考えられます。
つまり平均配当利回りを購入のタイミングにするくらいなら、毎月定期購入した方が楽だし、結果も同じということです。
結果(定期vs配当利回り5.0%以上で購入)
ん~。配当がもっと高い時に買ったらどうなるんだろう?
確かめてみる価値ありそうだね。配当利回り5%を購入タイミングにして計算してみよう。
配当利回り4.5%では定期購入とスポット購入で平均取得単価に違いがなかったため、もう少し割安なタイミングでスポット購入するように購入条件を配当利回り5.0%に引き上げました。
まずはトータルリターンを比較していきましょう。
あれ?今度はスポット購入の方が良い結果になってる!!!
ほんとだ。コロナショック以降、一気にリターンが上がってる!
平均取得単価を下のグラフで見てみると、定期でもスポットでも大きく違いがありませんでした。
上のグラフで株価の動きと合わせてみてみて!
コロナショックで株価が大きく下落したタイミングでたくさん仕込めているから、平均取得単価がすごく低くなっている。
ずーっと安くなるのを待ってた甲斐があったってことね。
2016~2020年3月までスポット購入ではほとんどポジションを持っていませんでした。そうなると配当金受取額が小さくなりそうです。
実際に確認しても、配当金受取額には10万円以上も差があります。
貰った配当金が少ないのに、なんで今回はスポット購入の方がリターンが良かったの??
コロナショック後の急反発で株価が上昇しキャピタルゲイン(値上がり益)がでた影響が大きいよ。
なるほど~。高配当投資なのにキャピタルゲインで稼ぐとは。
例えばS&P500は株価が右肩上がりだから暴落があっても5年前の株価を下回ることケースはめったにないんだけど、SPYDは株価が横ばいだから暴落すると何年も前の株価よりも安くなってるよね。
だからこそ配当利回りが高い時に購入する戦略が有効なんだ。
SPYDは株価が5年間で10~20%程度しか上昇しません。したがって20%以上の暴落が起こると、5年以上前の株価を下回ることがあります。
そこでたくさんのポジションを仕込むことで、安く大量のポジションを仕込むことができるため、キャピタルゲインを多く得ることができます。
加えて一度ポジションを持ってしまえば、高い配当をもらい続けることができるので、配当利回り5%を基準に購入するのは有効な投資手段といえます。
ただし6%や7%など、あまりに高い配当利回りを購入タイミングにしてしまうと、ポジションをもてないリスクがでてくるので注意してください。
目安としては4.5~5%の範囲で設定するといいでしょう。
まとめ:SPYDは配当利回りが平均以上のときに購入すると良い
前回、記事にしたVYMのときは配当利回りを指標に売買するのは投資効率が悪くなるだけでした。
しかし今回検討したSPYDでは配当利回りが過去平均よりも高いときに購入することで、リターンを大きくできることが分かりました。
ただ、配当利回りをみて投資する方法は暴落が来ない限り、何年も待ち続けなければいけない可能性もあるので、強靭なメンタルが必要かもしれません。
残念ながら私はその強いメンタルをもっている自信がありません。
定期購入でもしっかりリターンがだせることが今回わかったので、定期購入をメインにしつつ、少しづつ資金をためておいて暴落時にその資金を投入するという方法にしようと考えています。
記事のまとめ
- SPYDは配当利回り4%以上の超高配当ETF
- 直近減配しているので、安定性は低い
- 毎月定期積立よりも配当利回りが5%以上のときに購入する方がリターンが大きい
何度も言うようで申し訳ないですが、個人的にはVYMの方がETFとして好きです。
増配×株価が右肩上がりという安心感は何にも代えがたい・・・
VYMの購入タイミングについても検討しているので、ご興味ある方はどうぞ。