子どもの将来の学費を担保するための学資保険、あなたは入っていますか?
周りを見ていると、両親や知人に進められて子どもが出来たら入るものだと思っている人は比較的多いように思います。
もちろん学資保険に加入するメリットもありますが、私は多くの家庭にとって学資保険は入る必要がないと考えています。
その理由がこの記事のテーマです。
この記事を書いた人
- 共働き夫婦(夫29歳、妻28歳)
- 資産1900万円を運用中
- 2021年の年間投資成績+200万円
- 自動売買・個別株・仮想通貨など幅広く投資
貯蓄型と保障型
学資保険は生命保険会社等が販売している商品ですが、大きく分けて貯蓄型と保証型の2パターンがあります。
貯蓄型 | 保障型 | |
内容 | 保険料を支払うことで、教育資金を貯める | 教育資金を貯める目的だけでなく、子どもや親の医療保険や生命保険の役割を兼ねる |
メリット | ・満期を迎えると、保険料として支払った金額を超える額を受け取ることが出来る ・保険料が教育資金として貯まっていくため、貯蓄が苦手な人でも半強制的に教育資金を貯めることができる ・税控除の対象である | ・子どもや親に何か会った時に、保険金を受け取ることができる ・税控除の対象である |
デメリット | ・満期が来るまで基本的には支払う保険料が拘束される ・物価上昇等社会情勢の変化により、満期で受け取る教育資金が足りない可能性がある | ・支払った保険料の総額よりも、満期に受け取ることができる保険料が少ない |
貯蓄型は毎月支払う保険料を保険会社が運用して、運用益を一部のせて満期に支払ってくれるもの。
保障型は医療保険や生命保険的な役割も付随してるから、その分何事もなく満期を迎えたとしても、受け取れるお金が減ってしまうってことだね。
なぜ学資保険が必要ないのか
ここまでの説明だと、銀行にただ毎月積み立てて自分で貯金をするより
プラスαでお金を受け取れたり、保障があって税控除もされる学資保険って結構良いものだと思ってしまう方もいるのではないでしょうか。
そこで私が学資保険をおすすめしない大きく2つの理由について解説します。
中途解約で元本割れの可能性がある
これは一般的に言われる学資保険のデメリットですが忘れてはいけません。
生活を圧迫するほどの保険料を設定する人はなかなかいないと思いますが、家計の状況が変わったり、お金が必要になるタイミングが満期より早くくる可能性もあります。
しかし、自身の都合でお金を引き出すと、せっかく積み立てていたお金より少ない額しか返ってこないことがほとんど。
そうなると、銀行の預金の方が良かったということにもなりかねません。
長期間お金が拘束される
保険料を支払っていれば必要な時にまとまったお金を受け取ることが出来る、というと聞こえが良いですが、
満期を迎えるまで、あなたのお金をあなたの自由に使うことができなくなる、ということでもあります。
保険会社はあなたから受け取った保険料を運用して利益を出し、それが儲けとなる仕組み。
貯蓄型の学資保険の場合はその儲けの一部を受け取ることができる。
保障型の学資保険の場合は、その儲けの一部が医療保険・生命保険の支払いとして使われているといったイメージです。
自分のお金を自分で運用すれば運用益はすべて自分のものなのに。
市場の状況次第では自分で運用していたら元本割れする可能性があるからね。
その点学資保険は契約時に決められた利率で満期にお金を受け取れるから、受取額が保障されているんだ。
元金を保障してくれるのはありがたいけど、満期の頃に株価が超上昇局面でも受け取れる額は変わらないって保険会社だけ得しててなんだかな。
それに学資保険くらいの長期積立だったら、自分で毎月投資信託を買ったほうが良かったりしない?
良いところに気がついたね。学資保険の保険料と同じ金額で投資信託をつみたて購入した場合どうなるのか見てみよう。
学資保険 VS 投資信託(つみたて)
今回は学資保険人気No.1になっていた、「明治安田生命つみたて学資」とつみたて投資の王道、S&P500指数で比較してみます。
ちなみに、こちらの学資保険は親に万が一のことがあった時には保険料の払込が終了となるものなので、加入時点の親の年齢で返戻率に違いがあります。
今回は日本の平均初産年齢から30歳で子どもをもった親が子どもが0歳の時に学資保険に入ったとしてシミュレーション。
満期は21歳、支払終了は子どもが15歳の時となるので、S&P500指数を買っていた場合もそれに合わせます。
なお、S&P500指数の利率は平均の8.62%として計算します。
設定 | |
つみたて開始時年齢(親) | 30歳 |
つみたて開始時年齢(子) | 0歳 |
支払額(月) | 10,814円 |
払込期間 | 15年 |
総支払額 | 1,946,520円 |
満期 | 21年後 |
まずは結果をどどん。
明治安田生命つみたて学資 | S&P500(平均利回りで計算) | |
総支払額 | 1,946,520円 | 1,946,520円 |
満期受取額 | 2,000,000円 | 5,296,731円 |
利率 | 102.7% | 272.1% |
学資保険の場合は、満期に200万円ですがS&P500の場合はなんと529万円とその差は約329万円と莫大です。
ちなみに、S&P500も学資保険と揃えて15年間はつみたて投資し、その後は払込はなし。複利の力で増えています。
なお、株式は利益確定する際に税金が20%かかるので、それを引いた額を記載しています。
S&P500のつみたて投資なら、一度設定すればその後は放置でOKだから、学資保険を契約するよりも楽。学資保険の意味とは。。。
でもお金が必要な時がちょうど大暴落時期と重なってたら損することもあるんじゃない?
そうだね。そしたらリーマンショックの底値で売った場合どうなるのか見てみよう。
つみたて投資、最悪の相場でも損しない?
近年で最もS&P500の下落率が大きかったリーマンショックの底値でそれまで積み立てていたお金を引き出そうとしたらどうなるでしょう。
リーマンショック時の底値でお金を引き出すと仮定し、その21年前の1988年から15年間S&Pをつみたて、その後お金を出した場合の結果がこちらです。
S&P500指数 | 手元資金 | |
つみたて開始時期 | 271ドル(1988年3月) | 0円 |
つみたて終了時期 | 833ドル(2006年3月) | 5,138,812円 |
満期(リーマンショック底値) | 756ドル(2009年3月) | 4,663,795円 |
つみたて終了時の2006年から6年後に大暴落があるため、支払終了時の金額より受け取り時の金額は下がっていますが、それでも21年と長い年月をかければお金は大きく膨らんでくれることがわかります。
比較するまでもないですが、こちらが学資保険との差です。
自分で投資した場合は税引き後でも191.7%のリターンで、173万円以上もお得になります。
明治安田生命つみたて学資 | S&P500(リーマンショック底値で売却) | |
総支払額 | 1,946,520円 | 1,946,520円 |
満期受取額 | 2,000,000円 | 3,731,036円(税引き後) |
利率 | 102.7% | 191.7% |
ドル円は110円固定で算出
保障型の学資保険ならお得なのか
貯蓄型の学資保険をするならば、S&P500につみたて投資した方が良いということはお分かりいただけたかと思いますが、保障型はどうでしょう。
教育資金をためつつ、いざという時にお金がもらえるなら、他に生命保険等に入らなくて良いからいいのでは?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
貯蓄型学資保険とS&P500のつみたて投資の受取額の差額よりも少ない金額で生命保険等に入ることが出来ればわざわざ学資保険と生命保険等の役割を両立させる必要はないということになります。
なお、保証型の学資保険は基本的に貯蓄型の学資保険より返戻率が低いですが、今回はそのまま明治安田生命のつみたて学資の返戻率で比較してみます。
万が一に備える保険種類がありすぎて比較が難しいけど、私たちが入っている生命保険・医療保険・働けなくなった時の保険の合計額が年間約72,000円なので、それに子どもが21歳になるまで加入したと仮定します。
72,000円(年支払額)×21年=1,512,000円
学資保険に加入した場合と自分でS&P500に投資した場合の受取額の差は、平均的な相場なら329万円。リーマンショック等の大きな下落局面で売ったとしても173万円だったね。
てことはS&P500への投資が他で保険に加入した額を加味しても学資保険より有利なんだ。
しかも今回加入すると仮定した保険は通常学資保険に付帯しているものと比較するとかなり充足しているし、実際保証型の学資保険は返戻率がもっと低いからその差はより歴然とするはずだよ。
やっぱり学資保険ってぼったくり商品なのでは。。。
学資保険に加入すべき人
ここまでとにかく学資保険よりも、つみたて投資の方が有利であることを説明してきました。
私の意見は学資保険は不要で、その分投資したほうが良いいうものですが、投資よりも学資保険が向いている人も少数いると思います。
たとえば、
- 証券口座を開きたくない、開けない
- 相場が荒れた時に投資額の変動を見るのがストレス
- 絶対に絶対に元本割れしたくない
このような方は、投資をすること自体がストレスになると思うので学資保険で手を打つのもアリかと。
もしくは、利息が高い楽天銀行(0.1%)などに貯金しておけば、元本割れのリスクを回避しつつお金を長期間拘束されることがないので学資保険の加入を検討する場合の代替案として考えてみても良いかもしれません。
ちなみに利息が0.1%の普通預金に15年間お金をつみたて、その後満期までの6年間預金した場合、
満期に到達する額は1,972,212円。
学資保険に入った場合は満期受取が2,000,000円だったから、差は27,788円。
それで中途解約でのペナルティやお金の拘束がなくなるならその方が良いかも。
21年で27,788円なら私もそう思う。ただ普通預金だから簡単に引き出せちゃうのが問題かもね。笑
まとめ
多くの人が「なんとなく」入っている学資保険ですが、長期間にわたってお金を保険会社に完全に預けるある意味リスクのある商品であることを理解し、自身でつみたて投資をするということも代替案の一つとして考えていただけると良いと思います。
明治安田生命つみたて学資 | S&P500(平均利回りで計算) | S&P500(リーマンショック底値で売却) | 楽天銀行で貯金(普通預金) | |
総支払額 | 1,946,520円 | 1,946,520円 | 1,946,520円 | 1,946,520円 |
満期受取額 | 2,000,000円 | 5,296,731円 (税引き後) | 3,731,036円(税引き後) | 1,972,212 円 |
利率 | 102.7% | 272.1% | 191.7% | 101.3% |
学資保険との差 | ±0円 | +3,296,731円 | +1,731,036円 | -27,788円 |
大切な子どものための教育資金、学資保険に加入するのでも、つみたて投資するのでも、よく理解して始めていただけると良いなと思っています!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。